第71回 お化けの話

昔の南千住のお化けはタヌキ・カワウソ・大ヘビが多かったと明治の新聞記事に書かれています。南千住二丁目の浄閑寺に夜々お化けが出ると噂が広がり、浅草署の巡査が真夜中に捕らえてみると1m余の大タヌキだったそうで皆でタヌキ汁にして食べてしまったそうです。多聞寺や誓願寺にもタヌキにまつわる話があります。最近某TV局が東京でタヌキが大繁殖していると放映していました。タヌキは人間の生活の中で生きる能力を持っているのに、カワウソやヘビは水辺の生き物なので葦原や小動物がなくなり、水が汚れてしまっては全滅してしまいます。カワウソの立ち上がった姿を見ると人間のようですよね。

話変わって私の体験談を一つ。

昭和15年の夏の丑三つ時に11歳上の長兄に連れられてネン眠い目をコスリコスリお化けを見に行きました。コジキガードに毎夜女のお化けが出るという噂が立ち、長兄も一人で見に行くのは怖いからと私を伴ったのです。コジキガードは、現在の日光街道四号線の大ガードから、北千住方面に向かって第一番目のガードで、二番目は親子ガード、三番目はコツ通りのフミキリの大ガード、四番目はJR南千住駅前のガード、五番目は三瑞小前の葵倉庫の前、六番目は隅田川縁のガードで六ヵ所のガードがありました。コジキガードは、戦前音無川の用水の細 が土手沿いに流れ、ガードがトンネルなので雨が降っても濡れず、またガードの前が浄閑寺の墓地で日が暮れると真っ暗になって人通りがなく、いつもガードにコジキの大八車が三、四台寝泊りしていたのでその名前がついたのです。

で、お化けの話の結末ですが、長兄に手を引かれこわごわと夜道を行くとびっくり、黒山の見物人であれでは、お化けも幽霊も出られませんよ。後日談では、夜毎「よたか」が出ていたそうです。現在は夜でも昼のように明るく生活のリズムが崩れやすく病気になりそうな環境ですね。静かな闇の中で色々想像する能力が劣ってきているように思われます。たまには、夜早く灯りを消して想像力を養ってみませんか。朝早く目が覚め起きられるようになります。

現在、ガードがいくつあるか、ウォーキングしながら調べてみませんか。

次回は、砂尾土手のガード際に糞尿と生ゴミの集積場があった記事を書きます。

2007年5月13日    すまいるたうん34号