第63回 南千住に富士山がある

歴史を語る会」で文化館の野尻先生の講演の中で松尾芭蕉が「奥の細道」に旅立の時、舟で隅田川をのぼり千住大橋に近づくと右手に筑波山が見え、左手に霊峰富士山が見えたと書物に記されていると言われました。昭和30年代には毎冬JR南千住駅ホームから西南方向に美しい富士山を見ることができました。でも、今は空気の汚れと高層ビルの乱立で見えなくなりました。

ところが、毎日富士山が見られる場所が南千住にあるのです。

さて、どこでしょう?

その答えは「天王様」素盞雄神社の境内です。南千住の小学校の名称になっている瑞光の由来である「瑞光石」が奉納されている神聖な場所に「南千住富士」と呼ばれる富士山があるのです。文化館の専門員の先生方の調査によると江戸の末に古墳を基礎として築造されたもので浅間大神を祀ったといわれています。瑞光石の左側より石段が続き山頂の奥宮へと登れるようになっていて、富士塚の西側には多くの奉納された石碑が、林立しているのが、わかります。

そのうちの一つに杉山家の先祖の名が刻まれているのが判り、神社に行くたびに本殿の他に瑞光石の富士山にも拝礼しています。

文化館の調査で、南千住の小学校で校歌に富士山が歌われているのは、二瑞小と五瑞小の二校で、隅田川を歌っている校歌が一番多かったことが判りました。

それにしても、日本人の富士山の大好きなことは、古代中世近代にわたる絵にも数多く描かれていることからもわかります。その美しい象徴的な姿が見る人々の心にやきつき、信仰の心が自然とみなぎって来るのではないかと考えます。

ぜひ、南千住の富士も見に行って下さい。そして熱い思いを願って下さい。

コツ通り商店街の第三土曜日の富くじ市には多数のお客様が来て下さいました。また、その日の夜には天王様の境内で「第6回鈴虫の音声を聞く会」が行われ110名のお客様が参加され静かな境内で優雅なひとときを楽しみました。

来年は、ぜひご参加を。

2006年9月13日

すまいるたうん10号