第37回 千住大橋

8月29日に眞養寺にて「南千住の歴史を語る会」が開かれ、その時のテーマが「千住大橋」。

講師の野尻先生が「大切な大橋の道筋があまりにもゴミで汚れて・・・もっと大事にしましょうよ。」と呼びかけられました。やっちゃ場の岡本さん達5名と杉山(筆者)の計6名で「はしの日」にちなんで、8月4日の猛暑の中、3時間にわたって新旧の橋の上をきれいに掃除をしました。

今月の6日にも気持ちよく掃除することが出来ました。今後、手伝っていただける方は是非、ご協力をお願い致します。

一昔前には、大橋の真上で夏の暑い時期に大きなガラスの容器に氷を入れて、黄色や赤色の氷水を売っていました。荷車を下から押して上がっていくとちょうど「のどがカラカラ」、その一杯がとてもおいしかったことを思い出します。明治30年代まで夏の水売りは、とてももてはやされました。

「しやっこーい、しやっこーい水」という売り声と共に、コツ通りの朝一番の売り声は納豆屋とアサリ屋でした。

「なっと、なっとなっと、なっとーみそまめー」。「わらずと」とか「きょうぎ」に入った納豆「からし」・「きざみネギ」・「青のり」をサービス、毎朝よく食べました。

次がアサリ屋で「あさりーしじみよぉー、むきみよぉー。あさりはまぐりよぉー」。うつらうつらしている時に聞くと「あっさり死んじめえ、あっさり死んじめえ」と聞こえました。

「まめやぁーまめ」。あとは煮豆屋です。うるし塗りの桶が美しく、湯気のたっている「うづら豆」や「五目豆」や「お多副豆」その他煮物の惣菜。私はうづら豆が大好きでした。

昼になると金魚売り・虫売り・くず屋・灰買い屋・鋳掛屋(いかけや)・こうもり傘の張替え屋。砥ぎ屋、あとはガッチガッチと薬箱を鳴らしながら売りに来る定斎屋など次々と色々な物売りがやって来て売り声が待ちの路地中に響いていました。

夕方には「とうふーい、とうふーい」とラッパを吹きながら豆腐屋が来て、おでん屋・そば屋・ラーメン屋などが来ました。

実に一日中働いていた人々には便利な仕組みに出来ていて物のリサイクルが行き渡り、素晴らしい社会機能でした。

まいたうん56号(2003年9月20日発行)