第17回 正月と松飾り
いよいよあと10日で2001年も終わり、新しい年を迎えます。
暮になるとコツ通りの商店でも12月の10日ごろ、町内の鳶頭連によって松飾りが始まります。
葉のついた青竹と松を、店の前の左右の端に立て「しめなわ」を張り、「しで」を下げる作業がしばらく続きます。
それはそれは心を神聖な気分にさせ、「今年も師走が来たんだなあ」と気ぜわしさを感じさせると同時に「来年も頑張るぞう」と気が引き締まったものです。大店(おおだな)では樽飾り「家の内のあがり口に酒樽を据え、その上に鏡餅を載せ、紅白の「しげ」を下げ、大きな昆布を引き、鏡餅の上には伊勢エビを載せます。「うらじろ」も敷きます。干柿やするめイカや栗などを和紙で包み。金銀または紅白の水引で結んだめでたいものを供えます」を準備して正月を待ちます。
大きな会社では門松(大きな青竹を人の背丈ほどに斜めに又は水平に切り、3本から7本位を束ね、その下の部分を松で囲います。梅をあしらう所もありました。)です。
11月に入るとすぐ両国の回向院で開かれるガサ市へ品物を買出しに行って「夜べ」で職方達と「しげ」の噛み切りや折りの作業に入りました。
南千住の暮や正月の文化は日本橋を中心とした江戸文化が日本橋・浅草橋・浅草・花川戸・橋場・清川・南千住と影響されて今日に至ったと言えるでしょう。それと隅田川の川筋文化とが、混ざり合って出来上がったと思います。
正月の三日には私の父のハシゴ祭りが始まり、木遣り歌と共に町内を練り歩く風景が懐かしく思い起こされます。
いつのころからか「けじめの文化」がなくなりはじめ、一年中同じ生活が続き、晴れの日・影の日・上も下もどの関係も全て同じ・なんでも同じ、これでよいのでしょうか?
「しめなわ」=「わら」を左ねじりにした縄、神聖なものと不浄との境を示す張り縄。
「しげ」=昔は布を切って下げたが、今は長く紙を切って折ったもの
よいお年をお迎え下さい。
まいたうん35号(2001年12月20日発行)