第95回 モノを大切にする心がうつ病を無くす
先日の新聞記事に自殺者が年間3万人を超える時代となり、その数が長く続いていることに驚きました。不況不況というけれど自分の経験した戦争中や敗戦後の生活に比べれば、今の生活は天国極楽です。若い人のうつ病にかかっている数の多さにも驚きですが、欲しいモノが手に入る時代だからかと思います。
昭和30年代の始め頃までは全てのモノを大事に使っていました。手作りの食事から着る物まで自分で出来るモノは作り、また自分で手をかけたモノは大切に大事に使用したものでした。日本人は昔から自分で工夫を凝らして道を具えたのです。それが道具です。基本の基です。それも手作りです。だから大事に大事にモノを使います。 大量生産大量消費の時代へと進み、モノを大切にして使うことを忘れ、自分の命を繋ぐ食事作りまで忘れた為に人を愛することも思いやることも労わること全てが無くなって来たように思います。私の子供時代は遊び道具をほとんど手作りで考え苦労して作ったから大事にして使ったものです。
パチンコ(木の板とゴムひも)竹トンボ(竹竿)竹馬(竹竿と板)タコ(竹ひごと和紙)お手玉(ボロ布と大豆か小石)紙フーセン(新聞紙)石けり・缶けり・おはじき・ベーゴマ・ビー玉・まりつき・ゴム縄とび・・道路が遊び場でアスファルトにローセキ(蝋のような感じの柔らかい石)で思い切り絵を描いたりしました。遊びも春夏秋冬で変化し、それぞれ作るモノを工夫して遊んでいました。春には荒川放水路の土手で白詰草で首輪や冠を作ったり、土手転がりをやったりしました。夏は隅田川や荒川放水路で泳いだ砂ダンゴを作ったりシジミ取りや魚釣りをしました。釣り道具は手作りで、えさも潮が引いたらゴカイを取ったり草原でキジ(ミミズ)を取ったりしました。ヤッチャバの原っぱで自分で工夫したり先輩に教えて貰ったりして手作り手縫いの網で虫取りに熱中しました。
また、川遊びは命にかかわることだと先輩が真剣に教えてくれたのは忘れません。川に入る時や川渡り(横断)する時の心構えとして、隅田川は流れが速く、放水路は流れがゆるやかでも、隅田川の倍以上距離がある。満潮・引き潮・潮止りであるか、川の流れを見極める。自信無い者は一人で渡ってはダメ、泳ぎの上手な人達3、4名で初心者を中に囲んで泳ぎ、渡る自信が無ければすぐに引き返すことなどを教えられました。
人との関わりを大事にしていけば、一人で悩むことも無く話し合いの中から良い道が開けてくるものです。人という字は人間が寄り添う型です。現代では幼少から個人の人権尊重とかで家族の会話も少なく、テレビ・携帯・パソコンの発達により更に一人の時間が多くなり希薄な人間関係の経験しかないのでいざ問題が発生すると孤立感を深めてクヨクヨ悩んでしまうのでしょう。まずは、挨拶から、最初に家族に大きな声で明るく「おはよう」の声が出せれば、もう後は「元気ですか」「暑いですか」と続きます。元気に挨拶しましょう。 仙成こと杉山六郎 115号2009年8月14日