第66回 師走今昔

昭和30年代の12月の今頃になると、コツ通りの周辺では町内の鳶の若い衆が大八車に笹竹や小松を乗せて各店や仕舞屋 の出入口に竹を立て松を添え、しめ縄を張り正月を迎える準備に入りました。松飾りの竹の葉が風に吹かれて出す音色が、なんとも「正月が来るよ」と呼んでいるようで気ぜわしいやら、うれしいやら・・忙しく追われる気分にさせられ正月の準備をしなくちゃ、新しい年が来るんだあと気持ちの切り替えができるような風情でした。

今は、スーパーも各店も正月休みなく営業し、一年中が同じようで何かを事前に準備しておかなければという心構えが無くなってきたようです。昔は、晴の日「めでたい日」だけに食べられた物も、一年中お金を出せば食べられ、我慢をしてその日を待って食べる楽しみもなくなってしまいました。これでいいのでしょうか。物が有り余るほど豊かになり、機械が生活の中の労働を軽くした為、汗を流し努力して毎日の生活を送る事が少なくなりました。

「今は金がある人が勝ち」 人と人が協調したり、周りに気配りしながら譲り合ったり、助け合ったりする生活の術がなくなりました。老いも若きも自分勝手、自分の好きなことだけやり、嫌なことや骨の折れる事はやらず、要領よく生活する術だけが大手を振って歩いているように見えて、ますます私は心を痛めています。

でしゃばって若い人に注意すれば、睨みつけられて怒られて小さくなっています。コンビニで買い物して店を出るとすぐ袋を開け、その袋を路上に投げ捨て左手にたばこを右手には買った食物を持ち、それをパクついて歩き、タバコの吸殻をポイと捨てる男も女も目立ちます。いつから日本人は、他人に迷惑かけることや恥ずかしいと思う心を忘れたのでしょうか。相手を思いやる心を持って下さい。ああやんなっちゃった。オドロイタ。 良い新年でありますように、 一年間ご愛読くださいましてありがとうございました。

※仕舞屋      商売をやっていない家

2006年12月13日

すまいるたうん19号