第50回 心臓病の医療
私事ですが、8月9日狭心症のため救急車で東大病院に運ばれ、一命をとり止めました。現代医療の素晴らしさを痛感致しました。心臓の治療だから胸部を切開しての手術かと思って覚悟はしましたが、全然方法が違っておりました。
まず先に私の場合の狭心症の発作の症状をお話しますと、8月7日胸部全体の痛みとポタポタと滴り落ちる脂汗、拭いても吹いても落ちる汗と強い痛みが10分程度続きました。激しい息遣いと共にその後20分位横になっておりましたら、嘘のように胸の痛みが消え、立ち上がって仲通りの納涼大会を見に行きました。
その翌日8日の午前5時には釣り仲間と一緒に市川沖に「はぜ」釣りに出かけ、ボートに一人乗りして漕いで沖まで行き、暑い中「はぜ」の大釣りでエサが無くなり切り上げました。その次の日9日(月)に近所の南千住クリニックの海田医師に相談し、心電図とエコーの検査をして頂いたら、即緊急入院することになりました。
手術は放射線を利用した心臓カテーテルの治療法で1時間30分余かかりましたが、局部麻酔(左右大体動脈・左右上腕脈・左右横骨動脈)で自分の目で手術中のテレビモニターを見ることができました。右記の各部分の一箇所に針を刺してカテーテルという柔らかい細い管(直径1.5~2.0mm程度)を血管内に挿入し、冠動脈の入口まで進め、造影剤を流し冠動脈の状態(狭窄か閉塞か)を調べました。
私の場合は血管の狭くなった部分にステント(特殊な金属の筒)という血管を広げる部品を入れる処置をし、11日間の入院で、現在のところ胸部の痛みは治まりまして日常生活を送っています。
先日の東京新聞に「心筋梗塞のカテーテル治療法に新ステントが威力」と大きく記事が載っていました。新ステントは、正式な名称は「薬剤溶出冠動脈ステント」といって、表面に細胞の増殖を抑制する「シロリムス」という薬剤が塗布されていて徐々に薬剤が溶け出して傷つけられた血管の内膜の元に戻そうとする細胞の増殖を防ぎ再発を止めています。今後の治療の主流になるそうです。
平成16年(2004)8月9日(月)東大病院に救急車で運ばれ、11時30分に緊急入院し12階南病棟1203号室へ。午後1時より手術開始。右の大腿動脈よりカテーテルを挿入し、すぐに造影剤で血管の状況を見る。冠動脈3本のうちの真中1本に狭窄を見る。3箇所で1箇所は二股になっている。二股の分かれる部分での手術がカテーテルでは難しいと判断され、その場は処置せず、担当医師3名(志賀・松下・渡辺綾先生)で方法を検討し明日再手術とのこと。手術室に入って1時間半程で病室に帰る。その後から熱が38.5度位に昇り、抗生物質が投与され、「熱が下がり次第すぐ手術する。」と言われた。熱が下がるのに一日半かかり、11日の午後1時より再手術となる。今回は右大蕘骨大動脈よりのカテーテルで行われ、二箇所はストレートでステントが入り成功するが、枝分かれ部分は出来ず様子待ちとなりました。術中、突然胸が苦しく呼吸が激しく乱れ出したので、すぐに医師に伝える。「血管のプラーク(血管壁に付着しているカス)がステントを挿入時にはがれた為に痛みが発生した。」と言われ「すぐ吸い出すから大丈夫だよ」と言っているうちに、すうと痛みが無くなりましたは、術中時間は2時間に及び終了致しました。大腿動脈手術より腕の手術の方が楽だと思いました。
足からの手術は最低6時間以上身動きが出来ませんが、腕の方はボディ部分の寝返りは出来ますので、その分苦痛が少ないです。そして、回復を待ちました。
部屋は二人部屋で、かなりゆったりして南向きで日当たりが良く眺望も素晴らしく、シャワー・トイレ・洗面所・冷蔵庫がありました。食事は朝食1600カロリーが8時~9時、昼食12時~13時、夕食19時~20時で、消灯は21時です。食事は動ける人は食堂で、動けない人は部屋食の配膳です。食事内容は、朝は「パン」昼は「パン」か「めん」か「ご飯」で夜は「ご飯」でした。
8月19日12時までに退室の知らせあり、その前に会計精算をしました。総入院費用は240万円で、そのうち手術料が190万円、いかに手術が高度の技術を要するのかがわかりました。
入院費は健康保険の適用により69000円で私の支払いは済みました。健康は何よりの宝と言われていますが、正にその通りです。第二はお金です。多少のお金は貯えて持っていないと困りますね。
日常生活の積み重ねが全ての面で表れて来るものです。日々の努力が結果を生むことになります。努力しましょう。少しずつ少しずつ、自然の移り変りを一日一回は身体に受けて元気を出して生きましょう。
今朝も日が昇って来ました。オレンジ色とコバルト色と刻々と色彩が神秘的に変化していく様は「力」を授かっている気がします。「元気良く一日を進んで行くぞ、頑張るぞ。」
人工的都会では時が慌しく過ぎてしまいますが、空を見上げ、道端の雑草にも目を向けて下さい。
平成16年8月