一月一日、二日と出勤でした。
一月二日は朝刊をお休みさせていただきました。その前日、元旦は新聞社でも、新聞をつくっていません。それでも、事件事故の警戒や取材のため、本社には出番の記者やデスクがいます。二〇一三年の元旦は、私がそのデスク番にあたったのです。「お正月なのに大変なんですねぇ」とよく言われますが、大みそかはゆっくり家で過ごし、遅めの正月休みもとりましたから、そうでもありませんよ。
元旦は、新年の東京スカイツリーを早朝から取材していた若い記者から報告を受けて、原稿をチェック。その記者を帰宅させたあと、元旦付けの読売や朝日といった他社の新聞をチェックし、年末から年始にかけて起きた事件や事故の確認と原稿チェック、正月明けに掲載予定で、事前に刷ってある特集ページのゲラ刷りチェックなどをこなしました。思ったより仕事はありましたが、それでも大きな事件や事故はなく、静かな一日でした。仕事が一段落してから、泊まり勤務の若い記者と少しお酒を飲みながら、今年はどんな取材をするか、などと話していました。
元旦の朝刊では、一面に、荒川区の隣、北区にお住まいの日本文学研究者ドナルド・キーンさんの「東京下町日記」が掲載されました。昨年から月一回、寄稿していただいています。
この原稿は文化部という部署が担当しているので私は直接関係ありませんが、キーンさんが昨年、日本国籍を取得したとき、私は北区役所で取材しました。その際、キーンさんから、できたばかりの日本語の名刺をいただきました。名刺には漢字で「鬼怒鳴門」と書かれていました。「きーん どなるど」と読みます。もちろん本当の名前はカタカナ表記ですが、わざと漢字を当てはめたのは、キーンさんのユーモア、そして日本への愛情の表れのようです。
キーンさんは「これからは日本人として、日本に対して言いたいことを堂々と言えます」とおっしゃっていました。この欄で書かれることも含め、今後、キーンさんの発言が楽しみです。
さて二〇一三年が始まりました。三月には東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から丸二年、夏には参議院議員選挙など、いろいろな予定があります。
特に私が注目しているのは、六月か七月にある、東京都議会議員選挙です。
国会では自民・公明が政権復帰、石原慎太郎さんに変わって猪瀬直樹さんが知事に就任してから、はじめての都議選です。どんな東京都政を進めてもらいたいか、石原前知事から後継者に指名されて当選した猪瀬知事をどう評価するか、さらには自民、公明両党の国政に何を望むかなど、いろいろな思いを託すことができる、とても意味のある一票です。特に荒川区は定数2、他の選挙区と比べて少ない議席を多くの候補が争うことが多いので、今回も激戦区として注目されるでしょう。
先日の新聞でも報道した、二〇二〇年五輪を、東京で開催できるかどうかが、九月七日に決まります。
それから、ことしは天体観測の当たり年だそうです。四月ごろ「パンスターズ彗星」、十二月ごろ「アイソン彗星」という彗星が、いずれも太陽に近づくことで、日本の夜空でも見える可能性があるそうです。どちらも、今回見ることができなかったら、もう未来永劫、二度と見えることはないそうです。貴重な機会ですね。
荒川区にはプラネタリウムがあります。一般公開される「区民プラネタリウム」は月に二回だけですが、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
今年も、みなさまが読みたいこと、知りたいことを、より多く紙面に載せていけるよう頑張りたいと思います。
(東京新聞 社会部 部次長〔前・したまち支局長〕 榎本哲也)
すまいるたうん238号