墨田区で建設中の東京スカイツリーが、二月二十九日に完成する見通しになりました。あとは五月二十二日の開業を待つばかりです。みなさまお住まいの荒川区から、わずか三キロほどのところに、高さ世界一のタワーが誕生する。あらためて、すごいことだと感じます。
東京新聞したまち支局では、最終面の「TOKYO発」におおむね月一回掲載していた「スカイツリー成長記」、昨年八月以降は「スカイツリーのある街」という記事で、スカイツリーの工事うんちく、スカイツリーと地域住民とのかかわりなどを紹介しています。もちろん日々のニュースは、したまち版や社会面で掲載、大きな話題は一面にも載せてきました。
一月十七日の朝刊一面トップには、「雲をライトアップ」という記事を掲載しました。あまりに高い所にあるスカイツリーの展望台は、天気が悪いと雲にすっぽり隠れてしまい、中にいるお客さんは真っ白で何も見えない。そんなことが起こり得る。それではお客さんはがっかり。だったら、その雲をスクリーンに見立てて光の演出を見せたらどうか―。まだ実現できるか分かりませんが、そんな検討をしていると報じた特ダネ記事です。
いま、こうした着工から完成までの東京新聞の記事をまとめて、「スカイツリー成長記」(仮題)という本を計画中です。記事は大部分が、したまち支局の記者が書きました。本社のカメラマンが撮影した写真もふんだんに載ります。三月二十一日には発売できそうですので、よろしかったらご購入をお願いします。
去る一月三十一日には、スカイツリーをテーマにした東京新聞フォーラムが、墨田区の両国駅前、江戸東京博物館で開催されました。出演したのは、スカイツリーのデザイン監修をされた東京芸大元学長の澄川喜一さん、設計した吉野繁さん、建設工事の責任者の一人である田村建一さんです。スカイツリーを作ったおもな責任者がそろったと言っても過言ではないほど、すごい顔ぶれです。司会進行は私、榎本が務めました。
お陰様で定員四百人は満席となり、事前にお申し込みいただいたのに抽選ではずれてご来場いただけなかった方もいたとうかがっています。たいへん申し訳ありませんでした。今月十八日朝刊で、詳しい内容をご紹介しますので、お読みいただければ幸いです。
フォーラムで私が印象に残ったことを、ひとつご紹介しましょう。
スカイツリーの工事の特徴は、まだ建設途上だったころから、スカイツリーの塔体が少しずつ「成長」していくにつれて、建設現場周辺へ見学に訪れる方々が日に日に増え、その成長ぶりを眺め、写真を撮影していたことです。ついには、建設中なのに一大観光名所になり、建設現場の周囲をぐるっと回るバスツアーまでできました。
工事関係者の方々は、はじめはとても緊張して、やりにくいと思われたそうです。ふつう工事現場は囲いで覆われるなどして外から見えないものですが、スカイツリーは南側に北十間川が流れていて、隠しようがなかったのです。
ところが工事関係者の方々も次第に見られることに慣れてきて、むしろ誇りに思えるようになったそうです。昨年三月に完成時の高さ六百三十四メートルに達して「成長」が止まってからは、そうした見物の方々が、がくっと減りました。そうすると工事関係者の方々は「なんか、見られていないと寂しいね」なんて思ったほどだそうです。
二月二十九日まではもちろん、完成後も開業日の五月二十二日の直前まで、準備のためにさまざまな関係者が塔の中で作業されています。その方々を応援する意味も込めて、開業前という、もう二度とないこの期間に、スカイツリーを見に行ってはいかがでしょうか。
(東京新聞したまち支局長 榎本哲也)

すまいるたうん205号