第29回 コツ通りの正月風景

明けましておめでとうございます。いつも拙い文章を読んでいただき、感謝しております。 さて一昔前まではコツ通りも、正月になるとテンツクテンツク~~と神楽囃子の小太鼓の音が聞こえ、各家々へ獅子舞(二人で一組)がやってきて、私も子供の時、獅子舞に頭をかじってもらったものです。獅子に頭をかじられると無病息災でいられると、昔から言われています。獅子は日本人にとっては、魔除けと招福の聖獣とされているからです。

 

それから烏帽子に太紋を着た太夫と鼓打ちの者との三河万歳が鼓をポンポン打ちながら祝言を述べ滑稽な掛合いを演じて家の人から金品を貰って歩いたものです。その他に外では羽子板で羽子をついて遊びまわりました。門松の青竹の下で羽子をついて遊ぶのも良いものでした。屋内ではコタツを囲んでトランプや双六や福笑い(おかめの顔の絵〈ノッペラボー〉にまゆ毛や鼻や口や目や耳を、手拭で目かくしをして顔の絵の中へ入れていく遊びです)、その他にいろはカルタ(「犬も歩けば棒にあたる」というもの)、百人一首(関西ではちがう言葉だそうですが)などもやりました。

 

ほとんど現在では行なわれなくなって来ました。テレビに頼らず、静かに、または賑やかにこのような遊びも良いものだと思いますが、町では元旦の初詣では地元の代神さまへ。7日は芹・薺・御形・繁萋・仏座・菘・蘿蔔をこまかに切り、粥にして食べる「七草かゆ」。10日は門松はずし。11日は蔵開き福神様に供えた鏡餅で雑煮を作ってたべる(今はおしる粉に入れて食べているようです)。15日にはあずき粥を食べました。

 

時代が再々年々変化して風俗習慣も大きく変わりました。時代が変わっても、日本の文化が何百年もかけて育ててきたよいものは継続させていきたいものです。あまりにも合理性と利便性を求めるあまり、心のゆとりが失われているようで寂しさを感じます。

 

まいたうん48号〔03年1月 〕