第123回 贅沢は敵です

もうすぐ新しい年がやって来ます。年を取ると月日の過ぎるのが早いと言われていますが、自分がこの年(77歳)になり実感しています。久しぶりに映画を見に行きました。「アントキノイノチ」強姦された女の子と学校でいじめられ続けたドモリの男の子の話です。舞台は亡くなった人の部屋の遺品の片付け屋とその社員達、いろいろと考えさせられました。私は遺族に残すのは「物ではなく心である」と実感しました。映画を見た場所は30年ぶりに行った千代田線亀有駅、余りの変わり様にビックリしました。東口を出て環七の際に出来た複合商業施設「アリオ」(中核はイトーヨーカドー)は汐入のララテラスの10倍以上で映画館も10館位が中にあり、一日楽しく遊べて日用品も全て買える所です。

昔は、コツ通りにも明治43年(1910)に開業した大橋館があり、ジョイフル三ノ輪「新開地」には「三ノ輪座」、大関横丁には「キネマハウス」、その先の吉原へ行く日本堤の角には「三ノ輪文映」、南千住貨物駅の大フミキリの先には「南千住文化」などがあり、戦後はコツ通りに「大橋東映」がありました。「エノケン」榎本健一の「孫悟空」は各館とも大変な賑わいでした。

私が入館した12月3日の午後6時の回はお客さんはたったの6人でした。館を出てから食事をとバイキングの店(高齢者は1500円で食べ放題」数十分並んで待って入店し席に着いて周りを見まわすと子供連れの家族ばっかりでした。そこで、頭にきたのは「食べ物の食べ残し」です。次から次へと子供達は皿に大盛りで持ってきては残して、また新しい大盛りの食べ物を持って来てました。残した物は店員がすぐに片付ける。これでいいのでしょうか。親達は子供に何も言わない。私も何も言えない。これでいいのか、これでいいのかと怒りが湧いてきました。

今の日本人は贅沢すぎます。物が溢れて無駄使いばかりしています。

今年世界人口は70億人を突破しましたが、その半分の人々が食糧不足と言われています。そのほとんどが子供達です。一年間に760万人の子供が4秒に1人の割合で亡くなっています。「自分は関係ない勝手でしょう 」と思っているでしょうが、やがて戦前戦後のような食糧難の時代がやって来ます。こんなに大量にムダ使いをしていたら資源がなくなります。

江戸の人々は一汁一菜「めしと漬物は別」が基本でして初期の頃は2食が当たり前。米食の代わりに代用食としてソバ・うどん・すいとん・大根めし・麦めし・ズイキめし・サツマ芋めし・菜葉の雑炊、色々と工夫してムダのない暮らしをしていましたが、みんなが心豊かで幸せを感じていたのです。先日、来日したブータン国の人々と同じ幸せ度です。今の日本人の食品のムダ使いには、やがて神様のバチが当たります。大量生産大量消費のこのやり方は自分の首を絞める自殺行為です。全て腹八分目です。現在、世界の半分は水が十分に使えない状態です。これ以上枯渇地域が増えたら食料生産が出来なくなり今以上に餓死する人々が増えるでしょう。

身体を動かして腹を空かせれば、何を食べても美味いです。全ての自分の生活を見直して下さい。一年間、ありがとうございました。良いお年を。       仙成こと杉山六郎

すまいるたうん第199号平成23年 12月13日