第108回 子を育てる

荒川区と鴨川市が一緒に取り組んで24回を迎えるすばらしい事業「自然まるかじり体験塾」2泊3日(8月18~20日)が行われました。小学4年生から中学3年生までの子供が2~4人位のグループになり鴨川市の農業・水産業の方々の家に宿泊させていただき農業体験や漁業体験をさせてもらいます。

コンクリートとアスファルトの環境に育った子供が土と緑の自然豊かな環境の中で生活する機会を作り自然との関わりを教えて頂けることに大勢の方々が協力して下さっています。関係者の方々には頭の下がる感謝の気持ちでいっぱいです。

50年位前までは、子供達は大人になる前に結核やはしか等の感染症や栄養失調で沢山亡くなってしまうことが多く、常に死と隣り合わせの暮しをしていました。

そのため、親や社会、皆が協力して子供を

育てました。今は医学の進歩で幼児達がバタバタ病気で亡くなることは無くなりました。

それだけに子供に対する気持ちが昔と違って来ているように思います。

昔は親も地域社会も子供を大切に育てきちんと社会の中で暮らせていけるようにいろいろと世話を焼きました。

私の中学卒業時には高校へ進学する者は30%でした。15歳で親元を離れて社会の中に独り立ちしていきました。ですから、親はお宮参りやお食い初め・初節句・七五三等、よくここまで生きてきてくれたと一つ一つ段階を踏んでけじめをつけて独り立ちの準備をしてきました。今は心がこもらず、形だけのmのに成りつつあるように思います。

最近の日本はいつまでも親が独り立ちのしつけをしないで親の保護のもとに置かれて好き勝手させて地域社会との関わりにも参加せず、急に18歳頃になって世の中に送り出し、独立させるのに手こずってしまい、ひきこもりを作り出していることが多いようです。

小さい時から両親が愛情を持ってきちんと社会行事に参加させてあげて下さい。小さい時からいろいろな人達と交わることは社会で生きていく力が自然と備わって来るのです。日本人は永い歴史の中から和として人と人との協調精神を学んで来ましたが、その精神が戦争を引き起こしたとのことで敗戦後の教育は個を伸ばすことを柱としてきて自分の権利の主張を強く打ち出し、他人の事を考えるなとの教えを65年もやってきたのですが、もう少し皆で思いやりの心を持ち、周りのことや周りの人の事も考えて行きましょう。

人間は独りでは生きていけません。これからは老人社会です。皆でいたわりあいながら生活していきたいものです。

仙成こと杉山六郎

すまいるたうん第154号    平成22年9月13日